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恵方巻き狂想曲~サンクルス編~

 島民達が、手に手に恵方巻きを持ち、同じ南南東を向く。

 その顔は真剣そのものだ!
食べ始めたら最後、食べ終わるまで決してしゃべってはならない。
今年の『福』を獲得するために!!

 「それでは、みなさん、いっただきま~す!」
 キッチェの号令と共に静かな戦いが始まった。
黙々と恵方巻きを頬張る島民達……。

 そこへ、遅れてリュークがやって来た。
 「悪ィ悪ィ!恵方巻きを巻くのに時間かかっちまって」

 「っ!!?」
 目を点にする島民達!

 リュークは恵方巻きというより『煙突』……と表現した方がいいような巨大な巻き寿司を抱えていた!!
 誰よりも大きな『福』を我が物にせんとする、飽くなき野望を ひしひしと感じる!

 「ちょっとリューク!ギネスに挑戦するんじゃないんだから!!」
 「そーよ!リューちゃん、どんだけ欲張りなの!?」
 「福を独り占めにしようとしてるタ~イ!」
 「うわ~ん、おじいちゃ~ん……」

 「……つーか、おめーら食ってる途中にしゃべっていいのかよ?オレは、これから食い始めだけど」
 「あ……!」
 「やだ!リューちゃんの巨大恵方巻きに、思わずツッコんじゃったじゃない!!」

 しゃべった島民たちに次々と不幸が襲いかかる!

 「ああっ!?キッチェが大切に育ててたお花が!?」
 キッチェが愛情込めて育てていた、食虫植物がダンボールマンの一部を噛みちぎって
お腹を壊してしまっている!

 しゃべってもいないのに、とばっちりを受けたダンボールマンは激しいリアクションで地面を転げ回り、よほど痛いのか『殺してくれ』と、テロップを掲げる!

 「なら、私が……!」
 息の音を止めようと、拳を振りかぶったテイオーの一撃よりも早く
ダンボールマンの百裂突きが、テイオーを捉える!
 「イタイ!イタイ!何で反撃してくんのよ!?」

 島の各地で、不幸に見舞われた島民達の悲鳴が聞こえてくる!

 そんな様子を横目に、リュークは巨大恵方巻きにかぶりつく。
 (クックッ……甘いな!オレが今年の福を独り占めだ!)

 「あ……リューク、残念。もう恵方巻き、食べてるんですね」
 「!?」

 見るとマリアの手には、リュークの為に作ったと思われる、可愛らしい恵方巻きがのっている!

 (マ……マリアがオレの為に作ってくれた恵方巻き!?いや……しかし、このまま無視して巨大巻きを食べ続けなければ、オレの福が……!)
 悩むリューク!

 (けど、オレの福って何だよ!?マリアが愛情込めて作ったモン食うより、良い事なんてあんのか?……っく!) 

 「…………」
 意を決して、巨大巻きを投げ出し、自ら口を開くリューク!
 「マリア……オレ、マリアが作ったのを食うよ!」

 「あ、ありがとう!リューク」
 マリアから渡された、可愛らしい恵方巻きにかぶりつくリュークだが……

 「うっ……!何だこの味!?」
 「え?ちゃんと、そこにあった お酢を使ったんだけど」

 机を指差すマリア!
……食べている途中にしゃべった者には、平等に不幸が訪れる!例えそれがボスであったとしても!
テイオーが衝撃の発言を口にする!!

 「ああ!あの瓶には、私の『隠し味』が入ってるのよ?」
 「か……隠し味!?」
 「私が愛情をこめて絞りだした、汗と涙と……」
 「うわああァ~~!!もういい!!聞きたくねぇ!さっき食べたモン全部戻しそうだ~~!!」

 (ふっ……欲張るとロクな事はないな)
 そんな皆の様子を見守りながら、冷静に恵方巻きを完食したダイダロス。

 遠くから、恵方巻きならぬ、『なると』を丸ごと1本持ったフェリアの声が聞こえてくる!
 「お~い!久しぶりノエル~、遊びに来たぜ~?」

 どうやら、福が訪れたのはダイダロスのようだ。
 「キミは不思議なタイミングで現れるな」

 ダイダロスは、ニッコリと微笑んだ。

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