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由緒正しき。

 ― ―天空都市テラ― ―

 執務室で、何かを閃いたようにザクロが声をあげる!

 「分かりました!」
 「?何がだ?」
 研究書類を置き、博士が怪訝そうにたずねる。

 「博士が、ご結婚されない理由です!」
 「っ!?」
 「思いつかないので、ございますね?お名前を!」
 「は?」

 意気揚々と説明を始めるザクロ。
 「シャークマン家は由緒正しき名門です!これまで、そのご子息誕生の時には代々、
○○エル……と、お名前が受け継がれて参りました。ミカエル・ラファエル・ガブリエル……」
 「……で?」
 「もう、残ってる○○エルが、ムニエルエマニュエルくらいしか、思いつかないんでしょう!?だから、ご結婚自体を拒否なさるのです!」

 「くだらな……」

 バターン!
 「!?」
 博士が一笑に付す寸前で突然ドアが開き、クズノハが乱入してきた!

 「ミ……ミカエル殿、いずれ授かる、お子様の名づけにお困りなのですね?(わしとの間の!)」
 「黙りなさい!『わしとの間の!』……は余計です!ありえません!!」
 「ザクロ!カッコの中は、わしの妄想じゃ!ほっといてもらおう!」

 クズノハは、真剣な貌で博士に向き直ると、こう助言した。
 「ミカエル殿、文字郎を呼びましょう!彼は、これまで多くの子供たちに
相応しい名前を付けてきました!あ奴の命名は完ぺきです!」
 「文字郎?文字郎~!」

 博士が断る暇もなく、クズノハによって呼ばれた文字郎が姿を現した!

 「はぁ……名前……ですか?
名前には、意味があります。言の葉同様、魂が宿るでござんす……」

 書類を手に取る博士。仕事を再開したい様子で告げる!
 「いや、とにかく皆、撤収してくれないか?」
 迷惑げな博士を よそに真剣に思案する文字郎。

 「……」
 「………!」
 と、一瞬、煌めくような鋭い表情を見せた!

 「天啓でござんす!すばらしいお名前が出来ましたにゃ~!」
 「おお!?何じゃ文字郎?」
 「い……言ってごらんなさい!どんな名前です?」
 先を促すザクロ&クズノハ。
 少し気になるのか、博士も書類から目をあげる。
 文字郎の口が開く……!

 

 「キャビ男!」

 

 ヒュウウウウ~~~~……!
 「………」
 「………っ!」
 「………っっ!?」

 硬直する博士御一同様!

 「シャークマン家で鮫の子供(キャビア)だから、キャビ男・シャークマ……ぐっ!?」
 「せ……説明はよい!」
 慌ててクズノハが文字郎の口を塞ぐ!
 そのままザクロが、疾風の速さで彼を退室させる!

 「し……失礼しました~~!!」
 ザクロ&クズノハも、大急ぎで退室していく!

 「………」

 ……ただ、その時の彼等の顔が、明らかに「クスリ笑い」と「震え」を堪えた感じだった事に、無性に腹が立つ博士だったのでした。

 

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