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父、これみよがしに帰る

 

 イカダがゆるゆると近づいて来る。

 ― ― サンクルスに向けて― ―

 父、これみよがしに帰る

 

 「おーい!みんな、元気だったかー?」
本日、父の日!久々に、リューヤの馬鹿デカイ声が、サンクルスに響いた。

 「お……親父っ!?」
 「リュー様~!」
 「元ボスー!」

 集まる島民達。
 「おい!おまえ達!今日が何の日だか分かるか?みんなの良きパパ!
『島民の父』が、帰って来たぞ!?」

 「って、何の日だよ?『国民の妹』みたいな、キャッチフレーズ付けんなよ」

 ……と、そこへ海から、人魚のお姉さん達の声が聴こえてきた。
 「わ~キング・ポセイドンのおじ様、その子がいつも言ってる、自慢の息子さん?」
 「お話どうり、か~わ~いい~~!」

 「お…おい!何を話してんだ?テメーは?」
少し照れるリュークをよそに、リューヤは人魚のお姉さんに力説する!

 「そうなんです!コイツがオレの愛するひとり息子……」

 熱い眼差しを向ける! 
 「たかし!7歳です!!!」
おじいちゃんの横に居た、たっくんを突如、抱きしめるバカ親父!

 「何っ!?」
驚くリューク!

 「うわあぁ~~ん!おじいちゃーん!」
泣き叫ぶたっくん!

 「ど……どういうことだ!?テメェ!」
説明を求めるリューク。

 「どうもこうもねェよ!お前みたいなデカイ子供がいるってバレたら、お姉さん達、ドン引きだろうが!」
 耳打ちする親父!
 「き……キサマ……」

 リュークに気づいた人魚のお姉さんが、声をかける。
 「あら、そちらが歳の離れた弟さんね?」

 「そ~なんですよ!オレは島の覇権には興味がないから、全部この弟に任せて
風の吹くまま、気の向くまま、海に出た風来坊でねぇ……!」

 (ど……どんだけ粋な、架空の人生歩んでんだよ!?)
心の中で思いっきりツッコむ全島民!!

 その時、親父の耳にキッチェの言葉が入って来た!

 「ねね、リューク!
リュークが昨日書いてたのは、父の日におじ様にプレゼントする手紙でしょ?」

 ピクっ!
 「父の日の……手紙…?」
感動と衝撃でリュークを見つめるバカ親父!

 「ち、ちげーよ!それに お前の息子は、たかしだろ!?」
気まずそうに視線を逸らすリューク!

 「いや……、す、すまん!」
 リューヤはゆっくりとリュークの元に歩み寄る!

 そして、意を決して人魚のお姉さんに弁明した!
 「みなさん!オレの息子は、リュークでした!!わたくし、思い違いをしておりました!
国民の皆さまには、本当に申し分けない!」

 「いや、思い違いのレベルかよ!?」
 ツッコむリューク!

 「やだ!信じられな~いキング・ポセイドンのおじ様なんか、知らない!」
 海に姿を消す、お姉さんたち!

 そして、リューヤはあらたまって、リュークに向き直った!

 「リューク、見せてくれないか?その手紙……」

 リュークは視線を逸らしたまま、そっと紙切れを手渡した。
 「こ……こんなもんで、よかったら……」

 ザァァ~
 静かに寄せては返す波の音。

 手渡された白い紙に、父は涙をこらえながら目を通した。

  •  米、10キロ 5000フラン
  • 粒塩、 200フラン
  • 芋焼酎 1500いも

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 送料、特別追加料金1800フラン
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 または、代金引き換え、コンビニ決済等をご利用ください。

 ザァァ……
 寄せては返す波の音。

 「……………  な、何だ?これは?」

 「だから、親父が送れっつった品物の明細書!昨日作ってたんだよ!」
 

 「なぁんだ!父の日のプレゼントじゃなかったのね?」と、キッチェ

 「こ…これだけか?品物の中に『まごころ』とか入ってねぇのか?」

 「弊社の品は個人的感情は、一切入れず、流れ作業で配送しております!」
きっぱり言い放つリューク!

 「ぬおお~~!!ひどい!!ひどずぎる~~!!人魚のおねぇちゃ~~ん!
カム・バッ~~ク!!」

 ……父の嘆きが木霊する、サンクルスの父の日なのでした。

 (ヒドイのはアンタ!)by詩人。

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