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節電の夏・テラ編


  朝から気温の上昇を感じる。

 「はぁ、暑い……」
 ザクロは、ますます暑く感じるその言葉をつい、口にする。

  テラの温度、湿度の管理は気象部の連中に任せて、快適に保たれているはずなのに、この暑さはどういう事だろう?
 窓に面した博士の執務室に参じて、ザクロはその理由を理解した!

 中では、博士とクズノハ&文字郎のサイドテラ組が会議中だった。

 (こ……この私を差し置いてっ!?)

 ザクロはクズノハと文字郎をキッっと睨みつけると、[暑い]と感じたその理由を怒鳴りつけてやった!

 「コラ~~!!あなた達!その……暑苦しい長髪を切りなさ~い!!この女狐とバカ猫~~!!」

 「はぁ!?」
と、クズノハが睨み返し
 「んにゃ!?」
と、文字郎がおどけてみせた。
 
 ミカエルは、僅かに眉根を寄せたが、そんな博士の小さなリアクションに気づき、身を質せるザクロでは決してない!

 「二人とも、バッサリと散髪なさい!鬱陶しい!!で、なければ明日から出入り禁止ですよ!!」

 「でも、長髪は博士も同じでござんしょう?」
…と、文字郎が口をはさむ!

 「ぐぅ!?博士は、お顔が涼しいから特別なのですよ!」
 「何じゃ?わしも文字郎も、どちらかと言えば涼しい顔立ちと評されるゾっ!?」
 「ぬぐっ!?」
 
 クズノハがさらに、痛いトコロをえぐり込む!

 「お……お前たちは、その耳や、尻尾やくわえた草が、蒸し暑苦しいんですよ~~!!」
 クズノハ&文字郎
 「む……蒸し暑苦しい!?」
 
 「それを言うなら博士のメガネや服も、相当蒸し暑苦しいでごさんしょう?」
 「何っ!?キ……キミはさっきから……!」
 突然の、文字郎からのとばっちりに驚く博士!
 
 「全然っ!!博士の場合は平気でございます!!」
 「っええ~~~!?」
 完全に開き直るザクロ!
 
 「いいですか?明日は涼しく髪を切ってなければ、執務室に出入り禁止ですからね!?」

 呆れ顔の文字郎にクズノハが
 「わしに良い考えがある!」……と、耳打ちをした。

 --翌日・博士の執務室--

 朝から気温の上昇を感じる。

 「はぁ、暑い……」

 学習しないザクロは、また同じ言葉を呟きながら執務室のドアを開ける!

 これほど暑いのだから、ヘテロサピエンスの連中、さては自分の命令を聞き入れなかったのだな……と、思いながら!

 ギィ~~…
 ザクロの目が…彼等をとらえる!

 「やぁ!ザクロ、これで文句はあるまい?」
 「は?」
 そこには、長い髪を三つ編みに結い、これまでよりはスッキリと涼しげなクズノハの姿があった!

 「あっしも、お認め頂けますにゃ!?」
 「むむっ!?」

 文字郎は、その黒髪を後ろで結い上げ、粋なかんざしで留めている!

 こちらは近づくと、そのかんざしでグサリと刺されそうな気配があり、[涼しげ]を通り越して、もはや背筋が寒いくらいだ!

 「………」
 考えあぐねていると、
 「ザクロ!私は特に暑いとは感じないのだがな…、このくらいで許してやればどうだ?」
 とミカエルが、研究書類から目も上げずに聞いた。

 しかしザクロの体は暑い!ジワジワと汗が伝い不快この上ない!

 「あ……あの、博士?同じ部屋なのに、私はとても暑いのですが何故でしょうか?」

 ミカエルは、ようやく顔を上げチラリとザクロを一瞥すると、すぐに答えた!

 「黒いからだろ?」
 「えっ!?」
 「く・ろ・い・から・だろ?」
 ミカエルはもう1度、分かりやすく、はっきりと言ってやった!

 ガー~~ン!!

 「く……黒いから~~!?」
 「そうじゃ!お主は黒いから、太陽光を集めてしまうのじゃ!」
 「そうでござんす!暑いのはザークーだけでござんすにゃ!」
 と、サイドテラの二人がトドメをさす!

 「うるさい!目狐!!バカ猫!き……貴様がザークーと呼ぶな~~!!」

 ガクっ!
 「あ……暑いのは私、一人だけ……?」
 (そういえば、真夏のプールサイドのように体が熱い!)
 卵を落とせば、ザクロの背中で目玉焼きが出来るかもしれない!

 「ザクロ……そんなに蒸し暑苦しいなら、明日から執務室に来なくていいぞ?」

 ヒュウゥ~~!!

 ザクロの耳を、かき氷のように冷たい、ミカエルの言葉が吹き抜ける!
 「い、いえ!博士!先程の言葉でこのザクロ、適温になりました~~!」
 「博士!解雇でも言い渡せば、冷えて丁度いいでござんすにゃー!」
 「ミカエル殿!ザクロのためにも早く辞令を!!」
 「き…貴様ら~~…!」

 「ザクロ!明日から夏休みに入りたまえ!」
 「は、……博士?そんな……」

 ミーンミンミン…

 脳裏に響くセミの声!

 ザクロは、ミカエルの側に詣でるとヒソヒソ声で聞いた!
 「その夏休みは、有給でございますか?」

 ピキーン!

 凍りつく執務室の空気!

 「うわあぁ~-ん!す…すびませ゛ん!博士ぇ~!!」

 数分後、執務室からハンカチーフ片手に泣きながら飛び出すザクロ!

 この時のザクロが、セミさえ黙るほど、厳しく博士に怒られた事は、言うまでもない!

 そんなこんなのテラ、月色の塔の夏なのでした!

 ※「続き」に挿絵あり。(三つ編みクズノハとか。)

Photo

 ペンタブ画、練習のための挿絵。

 色を塗ってると、「節電の冬」になりそうなので線画だけです!
文字郎…「粋なかんざし」じゃなくてゴメンね

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